フェミニズムは悪くないし、そして同じようにバーチャルなオナネタは悪くないし、これから進化して行く 1

 

 

 私はフェミニズムが悪いとは言いたくないし、思ってもいないんです。「女は男より下」とずっと見なされていて、女性に対する様々なハラスメントが社会的に許容されていた時代があるというのも知っています。そして今もそれは改善されていないのでしょう。

 

 匿名ダイアリーにも、2ちゃんねるにも、女性によるたくさんの書き込みがあり、その中には、女性が自身の苦悩を吐露しているものもあり、そしてその苦悩の理由や根源は、偏に「お前が女に生まれて来たから」という理不尽なものである場合があります。「お前が女だから」という部分を悪用して、自分が有利になるように事を進めようとする社会や人物はたくさん居て、そういう奴らに酷い目に合わされる女性は今もたくさん居るのです。女性に生まれて来たという理由だけで。

 

 私はそういう「お前が女だから」という理由だけで不幸になる女性を見るのは嫌です。それは「女性」という要素だけに限らず、「お前は生まれて来たときに○○(障害、体質、肌の色、髪質などの身体的特徴 etc・・・)だったから差別されるんだよ」という言説や行動に対してはNoを突きつけたいと思っています。「その人がそのように生まれて来たことはその人の責任ではない」と私は思うからです。

 

 私がフェミニズムが素晴らしいと思うのは、「お前が女だから」という思想に対して明確にNoを突きつけたことです。「女だからこれをやれ」とか「女なんだからこれをされてもしょうがない」という言説や行為に対して「イヤ!」ということをハッキリ示したことです。それは素晴らしいことだし、社会を巻き込んだ一大的な闘争であり、フェミニズムが積み上げてきた立派な歴史だと思います。「女性たちよ、あなたはイヤって言って良いんだよ」とフェミニズムが示したことによって救われた女性の数は数え切れないでしょう。

 

 だから私はフェミニズムが嫌いじゃないし、むしろ尊敬しているんです。ただしそのフェミニズムが、「男性を監視する」「男性を改造する」といったイデオロギーを発露し始めるのなら、私はフェミニズムを懐疑せざるをえません。

 

 ここからは少し身も蓋も無い話をします。汚い話です。現実的な話になるとでもいいましょうか。まず、女性が心おきなく「イヤ!」と言える社会になると、男性はその「イヤ!」を恐れるようになります。そして、男性は「イヤ!」をあまり言わない女性を好きになるようになり、「イヤ!」を言わない女性がモテるようになります。恋愛や交際や生殖の面に限定して言えば、「イヤ!」を言わない女性の方が(機会数の面で)有利になるのです。

 

 「いやいやその『イヤ!』を乗り越えてあたしらにアプローチしろよ!男よもっと勇気を持て!高潔になれ!」とおっしゃる女性もいるかもしれませんが、男性というのは反社会的生物であり、「俺が気に入らない」と思ったものは簡単に切り捨てられる生物であります。フェミニズムが社会に浸透し、女性という存在が政治的に正しくなればなるほど、男性にとって女性というのは「日常で取り扱うにはめんど臭い」存在になっていき、他人行儀の存在、不可侵の存在、雲の上の存在になります。「女性とは表向きは付きあうけれども深いところまでは入っていかないよ(深入りして否定されたらたまったもんじゃない)」というスタンスをとる(損切りする)男性が多くなります。「不特定多数の男性からアプローチされるのすごく嫌!」という女性にとっては生きやすい世界になる反面、「もっと声をかけて欲しい」と思う女性には物足りない世界になっていくのです。

 

 さきほども述べたとおり男性は反社会的生物であり、自分の手に負えないルールを課されると、簡単にそのルールを反故にします。女性というのがルールをいつまでも糞マジメに守る生物であり、何かを要求されると際限なくそれに応える面があるのに対し、男性は自分のキャパシティを超える要求をされると、途端に仏頂面になり、口をピッタリと固く閉じ、静かに怒りを溜めながら、背を向けてどこかに行ってしまうのです。男性の方が自閉性が高いのは偏見ではなく事実です。男性は「繋がらないなら繋がらないで良いよ」という、孤独な生物なのです。

 

 エマ・ワトソンのスピーチが言っていることは、「男の人たち何でこんなに引きこもっちゃったの?」というフェミニズムの困惑であり、フェミニズムによって男性たちは解放されず、むしろ彼らは地下に潜ってしまったという事実を表しているに過ぎません。

 

 フェミニズムがなぜそのような誤算を生じさせてしまったのかというと、なぜならフェミニストたちは「フェミニズムが社会に浸透すれば男性の性欲も無くなる」という謎の楽観視、謎の論理の飛躍をしていたからです。女性の社会的地位が向上すれば、それに反比例して男性の性欲は下降していく、と本気で信じていたのです。

 

 なぜそのような馬鹿げた考えになってしまったのかというと、フェミニストたちというのは「性欲とは精神の問題」だと誤解していたからです。つまり、男の人は性格が悪いからエッチなことを考えるんだよ、獣のような醜い心があるからオナニーをするんだよ、と信じ込んでいたのです。私もツイッターフェミニストの発言を読んでいると、「精神力で性欲は無くせるでしょ」みたいなことを平気で言っている人間がいて、私はそこで「じゃあお前らは精神力で生理が止められるのか」と言いたくなります。

 

 話が逸れましたが、つまり、フェミニズムは男性の解放には繋がらず、男性たちは地下に潜って自分たちの好きなことを始めてしまったというのが今現在の先進国世界の現実なのです。では男性たちは地下で一体何をやっているのか、そしてそこに介入していくフェミニズム側の思惑とは、ということを次章では語りたいと思います。